毎年1月の第三木曜日に、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が主催する舞踏会 Ball der Wiener Philharmoniker(バル デア ヴィーナー フィルハーモニカー)が開催されます。
パンデミックによる規制で2年連続で中止されましたが、今年2023年は無事に開催できることとなり、第80回目を迎えます。ちょうど今、月曜日から水曜日の夜、楽友協会の客席が取り払われた黄金のホールで、デビュタントたちのリハーサルが行われています。
通称 ”Philharmoniker-Ball”(フィルハーモニカー・バル)の第一回目は、1924年にさかのぼります。その時のオーケストラに対するお祝いの言葉は次のように始まりました:
„Euch liebt die Heimat, euch ehrt die Welt“.
(故郷は君たちを愛し、世界は君たちを尊敬する)
ウィーン・フィルと深い関係にあったリヒャルト・シュトラウスは、開会のファンファーレを作曲し、現在も毎回のオープニングで演奏されています。
フィルハーモニカー・バルは、1924年から1931年と 1949年から2020年まで、合わせて79回開催されました(1991年は湾岸戦争のため急遽中止)。
デビュタントの中には、オーケストラメンバーやスポンサーの家族、作曲家の末裔なども参加しています。
楽友協会で開かれる舞踏会は2つだけで、フィルハーモニカーバルはその一つです。どなたでもチケットを購入して参加することができますが、お客さんの多くは音楽関係や他の仕事、政治関係で招待された人たちです。他の舞踏会に比べて、ダンスを習ったことがない人や、直前に少しだけ習っただけのお客さんがとても多いため、ただでさえ狭いダンスフロアで、身動きが取れないことがほとんどです。また、ダンスフロアでワインを持ったままおしゃべりしていたり、ロージェ席からシャンパンの入ったグラスを落としてしまったりと、残念ながら、マナーをわきまえたお客さんばかりではありません。なので、ダンス自体はあまり楽しめません・・・。
それを知っているデビュタントたちの多くは、オープニングセレモニーの後、楽屋で軽食やおしゃべりを楽しみながら真夜中過ぎまで過ごして、フロアが空いてくるのを待ちます。そうすればダンスを少し楽しめるかもしれません。
ダンスよりも雰囲気を楽しみたい場合は、とても素敵な舞踏会です。