ウィーンならではの挨拶の仕方に、
”Handkuss”(ハント・クス)があります。
Handは「手」、Kussは「キス」という意味で、男性が女性の手に口づけをする(仕草をする)ことです。
ウィーンでは今でも、ダンススクールや舞踏会などで、男性が女性に敬意を表する挨拶として使われています。
Handkussは、いつでもどこでもして良いものではなく、屋内でのみで行われます。
ダンスレッスンで、または舞踏会で出会った時やダンスの後に、女性を讃える挨拶として男性から与えられるものです。
それでは、Handkussの手順をご紹介します。
女性が手を差し出すかどうか決める
まず男性が女性に対してお辞儀をします。
ここで男性から手を差し出すのはマナー違反です。
女性の反応を待ちましょう。
女性には選択肢が2つあります。
- 頷いて答えるだけ
- 右手を差し伸べて握手する(手袋をしている場合は、脱かずにそのままで)
1の場合は、女性がボディーコンタクトなしの挨拶を選んだというこのなので、これでおしまいです。男性は堪忍して立ち去りましょう。
男性がHandkussを行うか決める
2の場合は、男性に選択肢が2つあります。
- 握手だけ
- Handkuss
Handkussは男性から与えられるものです。女性から手の甲を突き出すようにして、キスして〜!と差し出すのは、エレガントではありません。
いよいよHandkuss
男性がHandkussをすることに決めたら、まず握手のように握った女性の手を、甲を上に向けるように、軽く回転させます。
この時点で、女性は男性がHandkussをする意思があることを知ります。
そして、手を少し持ち上げて、お辞儀をしながら、口を手の甲の近くへ持っていきます。
この時、唇は手に触れません!キスする動作をするだけです。そうでないと、女性はHandkussの度に手を洗いに行かなくてはなりませんね。
さて、Handkussの後に女性の表情を見て、輝いていたら、上手くできた証拠です。
そうでない場合は、もう少し練習が必要かもしれません。
Handkussで注意すること
いろいろな映画の中でHandkussのシーンがありますが、正式なスタイルはなかなか見られません。
例えば、目を最初から最後まで合せているのは、カエルのように見えてしまって可笑しいです。
視線は、Handkussの前と後に合わせます。
さらに、次の注意点にも気をつけましょう:
- 両足を揃える(ひざまずく必要はありません)
- 左手は身体の横に下ろす(背中の後ろに置かないように)
- 口で”チュー”っと音を出さない
- 急がないでゆったりと
女性がHandkussを断りたい時
男性の口がケチャップで汚れていたり、ガムを噛んでいたり、何らかの理由でHandkussされたくないと思うこともあるでしょう。そこで手をサッと引いてしまうのでは、失礼にあたります。
そういう時は、男性が手を回転させた時点で、下へ押し返します。そうすれば、他の人に気づかれることなく、握手だけで済ますことができます。
さいごに
どの女性もHandkussをされると嬉しいものです。せっかくの舞踏会、勇気を出してHandkussをして女性を喜ばせましょう。
Gutes Gelingen! 成功をお祈りしています。