「ウィーンの舞踏会は未だに貴族のもので、貴族出身か億万長者でないと舞踏会には参加できない」
と思っている方が多くいらっしゃるようです。
それは間違いです。
誰でも舞踏会に参加できます。
それに、現在のオーストリアに貴族はいません。
貴族の家系の子孫はいますが、貴族だと名乗ることはオーストリアでは禁止されているんです。
オーストリア=ハンガリー帝国が1918年秋に崩壊した後、1919年4月3日に、国民議会によって
「貴族廃止法」(ドイツ語で Adelsaufhebungsgesetz)
が、「ハプスブルク法(ハプスブルク=ロートリンゲン家の国外追放と財産没収に関する法律)」とともに可決されました。
Adel はドイツ語で貴族、Aufhebung は廃止、Gesetz は法という意味です。
「貴族廃止法」の中には、
- 姓の前に貴族であることを示す「フォン」(ドイツ語で von )を名乗ってはいけない
- Edler(爵位)、 Erlaucht(伯爵)、 Hoheit(殿下)などの称号・敬称を使用してはいけない
- 紋章、家紋を使ってはいけない
- Ritter(騎士)、Freiherr(男爵)、Graf(伯爵)などの貴族の称号を使用してはいけない
などの条項があります。
つまり、オーストリア国内では、貴族と名乗ってはいけないということです。
舞踏会は誰でも楽しめます。
格式張ったものでも堅苦しいものでも全くありません。
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