ウィーンでは舞踏会が年に450以上も開催されますが、その中でも一番多くの舞踏会が開催されるのがカーニバル(謝肉祭)の期間です。カーニバルの期間がそのまま、舞踏会シーズン ”Ballsaison"というわけです。
カーニバル(謝肉祭)は、ドイツ語で Karneval, Fasching, Fastnacht という3種類の言葉がありますが、オーストリアでは”Fasching”と呼ばれます。カーニバルの始まりは毎年、11月11日11時11分。ウィーンでは、町の中心にあるシュテファン寺院の前で、ウィンナワルツが大勢の人々によって踊られます。このカーニバルの幕開けと同時に、舞踏会シーズン(Ballsaison)が始まります。
そして、カーニバル期間の最終日が、暦の計算によって移動する火曜日で、"ファシング・ディーンスターク Fachingdienstag"と言います(2021年は2月16日、2022年は3月1日)。翌日の「灰の水曜日」(Aschermittwoch)から「四旬節」(Fastenzeit)が始まり、「復活祭」(Oster)までのこの40日間、伝統的には断食の期間として、食事や祝祭の自粛がされてきました。厳しい戒律は時と共に薄れ、今ではこの期間中にお肉を絶つ人はほとんどいませんが、知り合いの中にはお菓子を絶つ強者が何人かいます!お祭り騒ぎや脂の乗ったお肉を我慢する四旬節の前に、仮装して大騒ぎをするのがカーニバルというわけです。
さて、お祭り期間の最終日であるこの火曜日の夜に、昔はカーニバルのお葬式を表した仮装行列が行われたそうです。この絵は1860年に描かれたもので、お葬式の格好に仮装をした行列が、ワルツやポルカなどのダンス音楽の楽譜を、棺桶に見立てた箱に入れて運んでいます。
(楽友協会アーカイブ所蔵)
専用の葬送音楽が奏でられ、喪章をつけた女性たち、消えたろうそくに扮した男たちが列をなし、ダンス教師は踊りの音頭を取る代わりにカーニバル期間の終わりを告げています。これはブラックジョークだったのでしょうか、それともカーニバル期間最後の冗談のお芝居だったのでしょうか。いずれにしても、興味深いですね!