その他 エピソード

オーストリアのなまはげとサンタクロース

カトリックの国オーストリアでは、クリスマス前の日曜日から前の4週間をAdventアドヴェント(降臨節、待降節)といい、キリストの降誕を待ち望む期間です。

Adventkranzアドヴェント・クランツという、4本のロウソクを立てた飾りを作り、日曜日にロウソクに火を灯してお祝いします。2020年の場合、11月29日に1本のロウソクを、12月6日に2本のロウソクを、13日に3本、20日に4本全てを灯します。

それに加えて12月1日からは、Adventkalenderアドヴェント・カレンダーで、クリスマス・イブまでの24日間を、一日ずつ数えて過ごします。ほとんどの人が、日毎のお菓子が付いているカレンダーを用意します。12月は日が短く、暗い日々が続きますが、このお陰で楽しく過ごすことができます。

12月5日は、Krampus クランプスの日

Krampus クランプスは、Heilger Nikolaus ハイリガー・ニコラウス(聖ニコラウス)のお供としてやって来て、悪い子たちを罰すると信じられています。家々や街の中を回り、小枝の束で、悪い子たちをポンポンと叩きます。秋田県の「なまはげ」と似ていますね。オーストリアの他にも、ドイツのバイエルン地方、ハンガリー、スロベニア、チェコ、、スロべキア、南チロル地方で伝わる伝統行事です。

12月6日は聖ニコラウスの日

悪い子を罰するクランプスに対して、12月6日には、Heilger Nikolaus(聖ニコラウス)が、良い子たちにプレゼントを持ってきます。Nikoloニコロと呼ばれています。聖ニコラウスは、4世紀のミラという今のトルコにある古代都市に実在した司教で、たくさんの貧しい人たちを救ったことで、聖人として古くから崇敬されていました。この歴史的な人物像が、アメリカに渡って、”サンタクロース”の元になった、と言われています。

ニコロがクランプスを連れてダンススクールへ

毎年この時期になると、クランプスと聖ニコラウスの形をしたチョコレートが店頭にずらっと並び、子供たちは少し怖がりつつも、この行事をとても楽しみにしています。

オーストリアのダンススクールでも、12月初めの一週間はクランプス・パーティーが催され、赤と黒の飾り付けで雰囲気を盛り上げます。もちろん聖ニコラウスとクランプスもやって来ます。

ニコロが "Ho ho ho ホ〜ホッホー!Liebe Kinder! かわいい子供達よ” と入って来て、ダンス教師に聞きます「先生、生徒のみんなは、ちゃんと良い子にしているかい?」

教師「女の子たちはみな良い子ばかりですが、男の子たちはどうも・・・遅刻して来たり、ネクタイを忘れて来たりするので、困っています。」

ニコロが先生の頭を撫でて慰めてから、言います。「でも、雲の上からは違って見えるぞ。女の子たちは、毎日のように何時間も鏡の前に座ってる。いくら化粧しても変わりゃしないのに」(生徒がどっと笑う)「そろそろ次の子供たちのところへ行かねばならぬ。代わりにクランプスをここに置いていくから、クランプスの踊り(チャルダッシュとギャロップ)を踊って、引き続き楽しんでおくれ。それじゃあ皆さん、楽しいクリマスを!そして、よいお年を!」

100年前から変わらない風景です。

クリスマスに再びプレゼント

ところで、聖ニコラウスが12月6日にやって来て、では、誰が Weihnachten(クリスマス)に来てくれるのでしょうか?

オーストリアでは、12月24日のHeiligabend(聖夜) に、Christkind(天使)が来てくれる、というのが伝統でした。のちに、聖ニコラウスの言い伝えがアメリカで姿を変え、Weihnachtsmann(サンタクロース)という名で広まりました。天使とサンタクロースの両方が、プレゼントを届けてくれるので、たくさんのプレゼント必要なんだそうです!

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