ビジネスエチケット 挨拶、紹介のマナー

ドイツ語の二人称SieとDuの使い分け

you to me

 

英語の "you" にあたる単語は、ドイツ語で2種類あります。一般的に、目上の人や、知り合ったばかりの人には、敬称の "Sie" (ズィー)で話しかけ、親しい仲同士では、親称の "du"(ドゥー) を使います。

SieとDuの境界線をいつどこで引くかは、時とともに変わっていき、最近は、duで話すことがどんどん一般的になってきました。例えば、オーストリアの隣国ドイツでは、多くのお店で店員がduで話しかけてきます。でもウィーンでは、お店でもレストランでも、お客さんとはSieで話すのが一般的です。

現在ダンススクールで高校生同士は、初対面からduで話していますが、つい数十年前までは、Sieで話していたそうです。大学でも以前は学生同士がSieで会話していました。

礼儀作法も教えているエルマーヤーダンススクールでは、100年前と変わらず今でも敬称”Sie”が使われています。いまだにSieでダンスの授業が行われているのは、オーストリアでも唯一、エルマイヤーだけです。

 

Duでお話してもよろしいでしょうか?

初めて会った人は、Sieで話しかけますが、だんだんと親しくなってきたら、duでお話ししても良いか、聞くことができます。相手の同意を得ずに、なんとなく自動的にduで話し始めるのは、好ましくありません。

では、誰がこの質問をすべきでしょうか。「Duの仲になりませんか?」という提案は、社交上の地位が高い方の人からなされます。男性と女性であれば、女性が提案することができます。または、同性であれば、年上の人が、年下の者に提案します。

ただし、職場では、仕事上の地位が優先されますので注意してください。例えば、部長が男性で年下であっても、部下である年長者の女性は、彼にduで話しかけても良いか聞くことはできません。

名前は、Sieで話す時は苗字で呼び、duで話すようになったら下の名前で呼び合います。Duの仲になる提案を承諾する時は、改めて下の名前で自己紹介しましょう。

例)

”Darf ich Ihnen das Du-Wort anbieten?” 「Duで呼んでもよろしいですか?」

”Ja, gerne! Ich bin Thomas.” 「はい、喜んで!トーマスです。」

 

Sieのままでいましょう

「Duの仲になりませんか?」と聞かれても、場合によっては、距離感の取れるSieのままでいたい、ということもあります。そういう時は、丁重にお断りしても大丈夫です。例えば、

”Vielen Dank, aber vielleicht sollten wir das auf einen späteren Zeitpunkt verschieben.” 「ありがとうございます。でも、もう少し経ってからにしましょう。」

”Danke, das ist sehr nett von Ihnen, ich bleibe aber lieber beim Sie.”「親切にありがとうございます。でもSieのままの方が良いです。」

 

ホームパーティーでは臨機応変に

プライベートなパーティーに招待され、招待客の中にSieで話す人とduで話す人が混ざっていることがあります。ここではあなたの感受性を駆使して、どう対応するか判断しましょう。

ホストが招待客を皆に紹介する時は、タイトル、苗字と名前の全てを言いますが、招待客本人は、どう呼ばれたいか自分で決めることができます。最近では初めから下の名前で自己紹介することが多くなってきました。例えば、

"Ich bin Willy, ist es in Ordnung, wenn wir beim Du bleiben? "「ヴィリーといいます。Duのままでもよろしいでしょうか?」

オーストリアでは肩書きがとても大事

 

忘れてしまった時、判断しかねる時は、ダイレクトに聞いてみよう。

久し振りに会って、あれ?この人とSieで話してたっけ、それともdu?と忘れてしまうなんてことも起こり得ます。また、Sieかduか判断に困ることもあるでしょう。そういうときは、相手に聞いてみるのが一番です。

"Entschuldigen Sie, aber wie wünschen Sie angesprochen zu werden?" 「すみませんが、どのようにお呼びしたらよろしいでしょうか?」

子供にはduで話しかけるのが普通ですが、16歳以上になったら一人前の大人として扱う意味を込めて、Sieで話します。ただし、家族と親交があって、皆とduで話す場合は、彼らの子供ともduで話す方が良いでしょう。

 

田舎や山ではduが一般的

チロル地方など田舎地方では、duで挨拶し合うのが伝統になっています。そこでSieで返すと、失礼にあたるそうです!

ハイキングや山登りでは、Grüß Gott! や、Grüß dich!と挨拶し、特に現地の人たちは、duで話しかけてきます。”1000メートルを超えたら誰とでもdu!”という決まりがある、という人もいます。

 

あるドイツの政治家が言った、”You can say you to me!” は、今でもよく笑いのタネになっています。政治家として友情を込めて「Duの仲になりましょう」と言いたかったのでしょうね。

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