全ての舞踏会に、服装の決まりがあります。
これを「ドレスコード」
(Dresscode, ドイツ語で Ballgarderobe)
と言い、舞踏会によって多少違っています。
舞踏会のウェブサイトや入場チケットに書いてありますので、事前に必ず確認しましょう。
例えば、
Damen (女性)
bodenlanges Abendkleid
(床までの長さのイブニングドレス)
Herren (男性)
Frack, Smoking oder Galauniform
(燕尾服、タキシード
またはガラ・ユニフォーム)
というふうに書いてあります。
舞踏会会場の入口では、服装のチェックがあり、不適切な格好で会場に行っても、ほとんどの場合、中に入れてもらえません。
もし不明な点があれば、舞踏会の主催者に問い合わせましょう。
それでは、典型的な舞踏会での服装について、ご紹介します。
[目次]
- 女性の服装
- 男性の服装
1. 女性はイブニングドレス
女性の服装は、ほとんどの舞踏会で床まで届く長さのドレスと指定されています。
小規模な舞踏会では、膝丈のカクテルドレスでも良いとされていることもあります。
ドレスの長さ
舞踏会会場の入口でチェックされる項目の中で、特に気を付けたいのが、ドレスの長さです。
ドレスコードに、
「床まで届く長さ」“Bodenlang“
と書いてあることが多いですが、
本当に床まで届く長さですと、ダンスのときに踏んでしまいます。
そこで、おすすめは、
ダンスシューズを履いて、裾が地面から少しだけ離れる程度の長さ
です。
これなら踊るときにも邪魔になりませんし、見た目も美しいです。
入場の際にチェックされるのは、「くるぶしが隠れるまでの長さがあるかどうか」。
くるぶしが見えてしまうくらい短いと、入場を断られることがあります。
でも、くるぶしの位置よりも長ければ、床を引きずってしまうような長さがなくても、全く問題ありません。
ドレスの色
ドレスの色は自由です。
ただし、白はデビュタントが着る色ですので、白以外の色にしましょう。
デビュタントについては、こちらの記事「”デビュタント”って何?」をご覧ください。
ドレスの形
ドレスの形も自由です。
踊りを楽しむには、例えばAラインの、あまりボリュームのないシンプルなドレスがおすすめです。
踊る際に脚を広げられるように、スカート幅が狭すぎないことも重要です。
毎年いくつもの舞踏会に参加する、舞踏会ベテランの女性たちの多くが、シンプルなタイプのドレスを着ています。
稀に、映画のお姫様のようなゴージャスなドレスを着た方を見かけますが、踊りにくそうで気の毒になってしまいます。
立っているぶんには、とっても素敵なんですけれどね・・・。
手袋
手袋は、デビュタントには必須ですが、普通の参加者には必要ありません。
もし身につける場合は、袖のないドレスには肘が隠れる長さの手袋を、袖があるドレスには短い手袋を選びましょう。
色は自由ですので、ドレスに合う色にしましょう。
靴
普通の靴でもOKですが、ダンス専用のシューズの方が、動くやすく、足が疲れにくいですので、お勧めです。
デザインは、踏まれたり蹴られたりしても怪我をしないように、先の閉じたものですと安心です。
一晩中踊っても痛くならないよう、ヒールは高すぎない方が良いでしょう。例えばこちらのようなスタイルがおすすめです。
ウィーンでダンスシューズを購入することをご検討されている方は、
こちらの記事「ウィーンのダンスシューズのお店」をご覧ください。
高価なドレス、アクセサリーは不要
ウィーンの舞踏会では、とても高価なドレスを着ている人はほとんどいません。
ダンスフロアでは、マナーを弁えないカップルがワインを片手に立っていたり、飲食物を運ぶウェイターが小走りに動き回っていたりして、
残念ながらドレスを汚されてしまうことも稀にあります。
それに、踊っていて汗もかきますし、背中に男性の手汗でシミができることもありますので、
クリーニングに出せるもので、高価過ぎないものをご購入されることをお勧めします。
イヤリングやネックレスなどのアクセサリーも、踊っている最中に外れて無くしてしまうこともよくありますので、あまり高価でないものにしましょう。
年に450以上もの舞踏会が開催されるウィーンでは、お手頃な値段のドレスも手に入りやすいです。
女性にとっては、ドレスを選んだり、また他の人たちのドレスを見るのも、舞踏会の楽しみの一つですね!
こちらの記事「ウィーンで舞踏会のドレスを購入しよう!私のおすすめショップ」で、
ウィーンのドレスショップをいくつかご紹介しています。
2. 男性は燕尾服またはタキシード
男性は、多くの舞踏会で、「燕尾服」か「タキシード」のどちらかを選べます。
他に、Uniform(ユニフォーム)というものがありますが、これは軍人や学生組合の礼服のことです。
燕尾服か、それともタキシードか
もし、燕尾服に慣れていなくて、着ていてぎこちなく感じるという方は、タキシードの方が良いと思います。
ただし、舞踏会によっては、燕尾服のみと指定されていることもありますので、ウェブサイトや入場券に書いてあるドレスコードをよく確認しましょう。
例えば、
- Opernball オーパンバル(ウィーン国立歌劇場主催のオペラ座舞踏会)
- Ball der Philharmoniker "Philharmonikerball" フィルハーモニカーバル(ウィーンフィルハーモ二ー管弦楽団主催の舞踏会)
では、
燕尾服の着用が義務付けられています。
ホーフブルク(王宮)で開催される舞踏会は、より華やかで、格式の高い舞踏会なので、タキシードよりも燕尾服で来る人の方が多いです。
その例外が、
Hofburg Silvesterball(ジルベスター舞踏会)で、アメリカやカナダ、オランダ、イギリスなど海外から参加のお客様が多く、ほとんどの方がタキシードを着ています。
もう一つの例外が、
IAEA Ball です。この舞踏会にはUNO関係の方がたくさん参加され、とてもインターナショナルなので、タキシードの方が多く見られます。また、各国の正装をしても良いことになっているので、いろいろな民族衣装を見ることができます。日本のお着物も、注目の的です。
靴
靴は、黒の革靴を履きます。
ただし燕尾服の場合は、エナメル靴と決められています。
タキシードにエナメル靴を合わせることも可能ですが、基本的には普通の革靴を履きます。
ダンス専用のシューズを購入される場合は、スタンダード用の靴にしましょう(ラテン用のシューズは、ヒールが高くなっています)。
黒色の靴下も、お忘れなく!
蝶ネクタイ
蝶ネクタイは、燕尾服には白、タキシードには黒という決まりがあります。
ドレスコードを表す「ホワイト・タイ」「ブラック・タイ」はここから来ています。
ちなみに、舞踏会で燕尾服に黒い蝶ネクタイをしている人たちを見かけたら、それはウェイターさんたちです。
その他
時計は、腕時計でなくて、Taschenuhr (懐中時計) を身に付けるという決まりがあります。
もし懐中時計をお持ちで無い場合は、わざわざ購入する必要はありません。
懐中時計を身に付けていない事をチェックする人はいませんので、ご安心ください。
白い手袋は、デビュタントには必須ですが、普通の参加者には必要ありません。
デビュタントではない一般参加者のほとんどの方は、手袋を持たないで来ます。
以上、舞踏会の服装についてでした。
舞踏会の服装は、レンタルもできます。
こちらの記事「ドレス、タキシード、燕尾服のレンタル」をご覧ください。